横浪大好き! 五色ヶ浜ルート (その2/全3)

update 2005.11/13

 

ぶちぶちにちぎれた砂岩からプレート境界を考える(地点1、4、5、6、7)

いわゆるフィッシュ風な砂岩や、
こんなきれいな非対称構造もあります。どっちも右横ずれのセンスです。

  さて、メランジュに戻りましょう。足元は黒色〜灰色の頁岩です。劈開が発達してて、ジャキジャキのぺらぺらです。触ると手を切りそうです。四国の四万十帯は、場所によりますがだいたい150℃から300℃弱の温度を受けていて、五色ヶ浜は250℃くらいの比較的高い温度を受けてます。高温を受けると頁岩はぺらぺらの劈開が発達するものです。ところで、この横波メランジュの東方延長は、手結住吉海岸に露出してますが、こちらは150℃くらいしか受けておらず、頁岩の感じはだいぶ違います(温度の違いは隆起量を反映してて、同じメランジュゾーンでも横方向に隆起量が違うというのはおもしろですね)。

  黒色頁岩中にはよくレンズ状の砂岩が挟まってます。レンズ同士がつながって入ると「ピンチアンドスウェル構造」。レンズが引きちぎられてると「ブーディン構造」と呼びます。えくぼだろうが、ソーセージだろうが、成因は砂岩頁岩の粘性違いと差応力にあります。粘性といっても現在はがっちがちの岩石ですから、ちょっと想像しがたいですが、大昔に海底にいた時は軟らかい砂と泥だったわけですし、沈み込んで地下深部にいた時は、熱水と反応しながらゆーっくり変形してたのです。そんな時に砂と泥とで、粘性がちょっと違えば、上下から押されただけでも泥は流れるように、砂はちぎれるように、振舞うってもんです。実際には剪断応力も働きます。そーしてこんな構造ができたのです。

  そのほかにも、メランジュ中はいろんな変形構造がいっぱいあります。頁岩の表面には条線がついてます。これは引っかき傷みたいなもので、すべった方向を示します。Y面P面リーデル面と呼ばれる非対称構造もあります。すべりの向きと方向がわかります。いろーんな何学パターンから、過去の応力の向きや運動方向を知ることができます。うーん。すごい。過去のプレート沈み込み帯の運動が見えてきそうです。クリノメータとステレオネットを駆使して3次元方位をきっちり描いてみましょう。こんな楽しい変形構造は特に地点6付近にいっぱいあります。

 
五色ヶ浜ルートの南半分です。スタスタ歩けば、ま、30-40分くらいですかね。
 

ちっちゃな泥の注入から泥火山を語る。大いに語る(地点5)

この黒いのが泥が注入した痕跡です。
注入脈の境界部です。左上が注入した泥で、左下が砂岩です。写真中央に、境界線を横切っていながら、破砕されてない粒子がみえます。粒子は壊れることなく、バラバラとはがれていったのです(脆性破壊を伴う断層だと粒子もシャープに切られているってもんです)

  地点5には泥の注入の痕跡があります。なんじゃそりゃ? Mud injectionとも言います。高間隙水圧の流体が砂岩層中に貫入した痕跡です。こういった高間隙水圧流体の流動化現象の身近な例としては、地震の時に埋立地帯で見られる噴砂現象がありますね(どこが身近な例だっつーの!)。露頭で、どれが泥の注入痕かといいますと、見た目は真っ黒いものが砂岩層にべちゃってくっついていて、「誰だ露頭にアスファルトかけたのは!」と思ってしまうくらい黒いのがそれです。でも良く見るとそれは砂岩の中に食い込んでいて、表面の汚れじゃありません。泥の基質に砂の粒子がランダムに散らばっています。

  ところで断層ガウジの中にも、これと似たような産状のものがありますね。露頭で見ると、とっても似てて一見区別がつきません。「えー本当に泥の注入なの? 断層破砕帯じゃないのー?」と思う人は顕微鏡で見てみましょう。泥の注入は、堆積物が未固結の時に起きます。泥水が圧入してくると砂の粒子が離れ離れになります。一方、断層破砕帯は固結して岩石になってからできます。すると砂の粒がバキッと割れます。つまり砂の粒がばらけてる→高間隙水圧起源 砂の粒が破壊してる→断層破砕 ってわけです。なーんだ簡単じゃん。そしてなぜ高間隙水圧が生じたのか? ということですが、堆積物はすべからく水を含んでいます。そして岩石化する過程で、じわーっと搾り出されていきます。でも、透水率が低かったり、すごいピッチで水が搾り出されて、水の供給に対して排水がおっつかないと水圧がドガーと上がります。地震の時の噴砂現象は、振動で砂の粒子が再配列する際に水が搾り出されます。でも泥は粘着力があるので、振動ではあまり水を吐き出しません。上から押されたり、横から押されたりしてビューッと噴き出したのでしょう。上から押されたってのは、何かが上にドサッと堆積したって意味ですし、横からってのはテクトニックに地質体が圧縮されたって意味です。横浪メランジュは付加体ですので、プレートによってぎゅっと押しつぶされて、ビューって泥水が噴き出したんじゃないかなーって思うわけです。こんな泥の噴出は、海底の付加体でもよくあることで、熊野灘やバルバドスの海底では、泥火山とよばれる山が見つかってます(名前は火山ですが、火は噴きません。泥の噴出によってできたのです)。

 

難所で冷や汗をかく(地点7)

  さて、地点6の変形構造の名所の次は、ちょっと難所です。たいしたことはないけれど、波が高いと危ないです。台風の日は通れません。ほんの1ヶ所だけ足を濡らしそうになりながら通ります。ちょっと注意してください。サンダルでは危険です。

 

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