1.なぜ予知できないの?

A.メカニズムがよくわかってない上に、観測も不十分だからです。

 

■ プレートが跳ね返るモデル

テレビや新聞でよくこんな解説図を見ます。日本列島の下にプレートが沈み込んでいて、陸側プレートがググッと引きずり込まれます。しばらくはがんばるのですが、しかしやがて耐えられなくなって、一気に跳ね返ります。どーん、と。これがプレート境界の海溝型地震であり同時に津波が発生します、と解説されます。なるほどわかりやすいし納得です。これくらい簡単ならすぐにでも予知もできそうな気がします。でも、なぜできないの??

このモデルだと、同じ規模の地震が同じインターバルで繰り返しそうな気がします。しかし実際には、タイミングも規模もかなりばらつきがあります。

■  未来を予測するには

 これから起きそうな事を予想するやり方としては、(1)とにかく経験上そうなる、(2)メカニズムと現状に基づいて推測する、という方法があります。

 前者はまるで、テレビの調子が悪いときに「いつも叩くと直るよ」みたいな感じで、理屈じゃありません。このほかにも「10月10日は晴れの特異日だから、晴れるよ」とか、「あいつは雨男だから、来週は降るよ」も同様です。これまでの確率が高かったという事実に基づきます。必然性はいりません。とにかく予測さえできればそれで良い、というのであればこれもありでしょう。ただし膨大な統計データに裏打ちされる必要があります。天気やテレビの故障であれば、何度も何度も繰り返して再現性を確認できるでしょう。テレビの故障や10月10日の天気ならばたくさんのデータを集めて、統計処理することが可能でしょう。

 しかし地震(いま問題にしているのは大地震)となると、発生頻度が非常に低いため統計データを蓄積するには、長い長い時間が必要になってしまいます。100年に一回の大地震を100回経験するには、なんと1万年もかかってしまいます!

 それではメカニズムの理解と現状把握の方はどうでしょうか。地震が発生している「震源」は地下5㎞以上の深部です。人類はそこまで掘ったことはありません。誰一人として活動中の震源断層を見たことも触ったこともありません。

 地震波をはじめとする数々の観測も、遠くから地下の様子を推測しているにすぎません。震源でどんな岩石が、何を起こし、今どうなっているのか。よくわかりません。

 こんな事で予測できるはずがありません。だから現状では地震予知は実現していないのです。だからと言って、この先もずっと不可能とも思っていません。理論上不可能な事は実現不可能ですが、可能な事はきっと実現できるはずです。

 では、どうしたらよいでしょう? それをカバーするには、(1)地層から過去に何が起きたのかを復元することで統計データを増やし、(2)地震発生メカニズムを理解し、(3)そのうえで震源域で今何が起きているのかを刻一刻把握することだと思います。そうして初めて次に何が起きるのかを予測できるようになるでしょう。

 世界的に見て地震や断層の研究に最も力を入れているのは日本でしょう。地震予知は、日本が実現できなければ、人類は当分できない、と思います。